教えない授業とは?San DiegoのHigh Tech High School訪問レポート

教えない授業とは?San DiegoのHigh Tech High School訪問レポート

アメリカの先進的な教育、新たなトレンドを知りたい!という思いで、アメリカの教育機関を視察してきました。訪問レポート第二弾は、カリフォルニア州サンディエゴにある公立高校High Tech High Schoolです!

High Tech High Schoolとは?

この高校の特色は、ほぼ全ての授業がPBL(Project Based Learning)というプロジェクト型学習で行われていることです。具体的には、教師が教壇に立って一方的に話をすること、一方的に教えることをほぼ行なっておらず、生徒がグループを作り、プロジェクトを遂行しながら授業が進んでいきます。生徒たちはプロジェクトを通して課題解決を行うことで、各教科の単元について理解を進めていきます。

学校の中の雰囲気は、とにかく自由!!授業中なのか休み時間なのか全く区別がつきません(笑)基本的に全てプロジェクトベースで授業が進んでいるので、教室の外に出て話をしている生徒たちもいれば、スタジオにこもって何やら作業をしている生徒も。
校舎もとてもおしゃれ!

生徒の創造力を引き出すような仕掛けやスペースがたくさん!素敵な空間ですね。Webサイトから申し込めば誰でも参加できるキャンパスツアー。私たちは今回1日のプログラムに参加しました!

なぜ全ての授業がPBL(プロジェクト型学習)なのか?

なぜHigh Tech High Schoolは全ての授業をPBLで行うことにチャレンジしているのでしょうか。私たちが訪問したキャンパスのディレクターであるイサック先生とお話を伺いました。

High Tech High Schoolは生徒が受け身でただ知識を覚える教育ではなく、主体的に取り組み、社会で生きる力を育てたい、という思いで学校が設立されたそうです。

「いくら成績が良くても、いくら有名な大学に進学しても、結局は社会に出て他者とコラボレートする力がなければ、社会で活躍することはできませんし、イノベーションも生まれません。他者と協働する力を高めるために全ての授業をPBLで行なっています。入試ももちろん大事ですが、高校は大学合格のために存在しているのではなく、入試の先に何があるのか、その後の人生はどうなのか、それを一緒に考えていくことが大事だと考えています。」

知識を詰め込むのではなく、学ぶ目的を明確にし主体的に学びあうことで、自分で考える力が高まるのだと思います。イサック先生の言葉から学ぶことは目的ではなく、自分を創っていくための手段なのだ、と気づかされました。

どんな授業なのか?!

High Tech High Schoolでは、先生が前に立って話す・教える・ガイドするのは授業の冒頭5-10分ほど。それ以外の時間は全てPBLです。先生が教えないってどういうこと?と思われる方も多いのではないでしょうか。日本でも徐々にPBLは広まってきていますが、ほぼ全ての授業がPBLというのは、かなり難しいことのように思います。

実際の数学の授業を見学させていただきました!

これは関数の授業です。関数を使って絵を描くのです。ただ単に数式をパターン的に覚えたり、解くだけでなく、実際に手を使って動かす使うことで、楽しみながら理解が深まります。これをグループで行い、お互いに創意工夫をして絵を完成させるのです。私たちも体験させてもらいましたが、めちゃくちゃ楽しかったです!

授業によっては、その授業内で完結するプロジェクトもあれば、数週間、数ヶ月続くプロジェクトもあるそうです。プロジェクトの期間に関わらず、どの授業でも生徒が主体的に学ぶ、学びたくなる仕掛けを先生方がデザインしていることを感じました。

なぜこれが実現できるのか?

High Tech Highの先生方とお話しさせていただいたり、授業や校内の雰囲気から”生徒が自由に主体的に学び、学習の中心はいつも生徒である”ということを感じます。

ディレクターのイサック先生は「High Tech Highの先生はteacherではなくて、artistなんだよ。そして授業は先生たちのキャンバスなんだ。」とおっしゃっていました。イサック先生によると、High Tech High Schoolの先生たちが大事にしているのは以下の3つの考え方だそうです

  1. love kids 生徒たちを愛すること
  2. work hard 生徒の学びのために一生懸命働くこと
  3. improvement reflection より質の高いアウトプットを出すために振り返り&改善すること

先生やスタッフはその空気や風土を作るために自分自身の授業を工夫したり、生徒と接する態度や姿勢を意識しています。そしてどの先生方も、より良い学びを創造するために、学び続けていることがわかります。教員同士の勉強会や、お互いの授業を見学しフィードバックしあうことなども頻繁に行われているそうです。

一人ひとりの先生の目的意識、思いがHigh Tech High Schoolの目指すものの実現につながっていることを感じました。

自由で自分らしく、だからこそ自分で考える

High Tech High Schoolの生徒さんたちに学校生活に関してを話を伺うと、「宿題も少ない」「自由」「自己責任」という言葉を多く聞きました。自由である、ということは責任が伴います。生徒もそこを自分で考え理解しているのでしょう。

また、「学校内ではいじめがほとんどない」と生徒たちが教えてくれました。PBLを徹底して行なっているからこそ、他者とコラボレーションする力が高まり、自己理解・他者理解が深まっているのだと思います。PBLは手段に過ぎず、生徒たちの成長を通して学校設立の目的や理念が形になっているのだと感じました。

なぜ、学ぶのか。大学受験は目的ではない

今回、High Tech High Schoolを訪問させていただき、大学受験の先を生徒や保護者の方と一緒に見つめ、描くことが大切だと改めて強く思いました。生徒自身が「自ら考え、自ら学ぶ。」そのために、学ぶ目的や学びの先にあるものを一緒に探求していくことが必要ではないでしょうか。tyotto塾が目指す「生徒の自律」と通ずるものがあると感じました。

テストや偏差値、大学合格はもちろん大切です。しかし、現在の日本の社会ではそれが目的になってしまっていることを感じます。「いい大学に行けば、そのあとなんとかなる」「大手企業に入れば安心」そんな神話はもう存在しません。

”なぜ学ぶのか。そしてどう学ぶのか”

改めて教育の本質的な部分を捉え直す必要があるのではないかと思います。教育関係者の方々、保護者のみなさま、そして一人ひとりの生徒さんと一緒に考えていきたいと思います。

High Tech High Schoolのみなさま、ありがとうございました!

第一弾のNueva School訪問レポートも多くの皆様に読みいただき感謝です!
https://tyotto.co.jp/tyotto-news/2972

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