教育ITベンチャー最前線で見た「テクノロジーの発達によって仕事が奪われる瞬間」

教育ITベンチャー最前線で見た「テクノロジーの発達によって仕事が奪われる瞬間」

「テクノロジーが進化して、今ある仕事がAIやロボットに取って代わられるんだよ!どうする?!」と生徒に問いかけているものの。

野村総合研究所が行なった研究で、「日本の労働者の約49%の仕事が10〜20年以内にAIやロボットの発達により代替できるようになる」という結果が出たことをご存知の方は多いのではないでしょうか。

「人工知能」「AI」をどう定義しているかは置いておいて、それらを取り入れていると宣伝しているサービス・システムもよく見るようになってきました。

私たちが運営する学習塾Withdomでは、「テクノロジーの進化によって今ある仕事がどんどん機械に取って代わられるけど、君たちはそんな社会でどう生きていきたい?」といった問いかけを日常的に行なっています。

自社で開発・運用しているキャリア教育コンテンツ「ProgressTime(プログレスタイム)」でも、シンギュラリティや自動運転といったテクノロジーの最先端をテーマとして扱って生徒たちに問いを与えています。

さて、「今ある職業が機械に取って代わられる」とは言うものの、学習塾を運営しているとなかなかそれを実感する機会はありません。

そんなテクノロジーの進化と仕事・職業の関わりを、tyottoエンジニア伊藤が今話題の「クラウド」を例に挙げてご紹介します。

ちょっと技術寄りの話が続きますが、教育者たるもの、馴染みがない分野だったとしても臆せずインプットしていく気概が必要かもしれません…!

簡単な自己紹介

大学3年の夏に現代表・新井と共に株式会社tyottoを立ち上げました。幼少期から慣れ親しんだプログラミング技術を生かしてインターン生として3年ほど数社で働き、機を見て自分のやりたいことをスタートした、というよくあるパターンで今に至ります。

株式会社tyottoで技術を扱うものとしては、

  • 自社のWebサイト
  • 学習塾WithdomのWebサイト
  • 自立学習支援アプリ「tyotto me」のシステム

などがあります。

今月の頭からtyottoの理念に共感してくださった方が中途採用でエンジニアとして入社されましたが、それまでは基本的に全システムの開発・運用を一人で行なっていました。

クラウドコンピューティングサービスのおかげでここまで来ることができた

さて、冒頭でテーマとして挙げた「クラウド」について簡単に説明します。

クラウドという単語自体もここ数年でかなり耳にするようになりました。

  • 「クラウドにスマートフォンのデータを保存しよう」
  • 「共有するデータはクラウドで管理しよう」

などの言葉が日々飛び交っています。

クラウドという言葉はどの文脈で使うかで意味が大きく変わりますが、今回はインターネット技術である「クラウドコンピューティング」のことを指す言葉として使っていきます。

クラウドがない時代

Webサイトや、アプリのデータの送信先は「サーバー」と呼ばれます。ゲームをやったり、SNSをやったりする人は「サーバーが落ちた」みたいな表現に馴染みがあると思いますが、ソレです。

サーバーというとわかりにくいですが、単にWebブラウザやアプリからデータを送る先のコンピューターのことをサーバーと呼んでいるに過ぎません。単なる役割の名前ですね。

さて、そんな「サーバー」を設置するにはどうするかというと、、、

  • サーバーを置いておける場所を確保する
  • たくさんの利用者からデータが送られても処理できるよう、高性能なパソコンを買う
  • インターネットを契約する
  • 電源やインターネットケーブルを配線する
  • OSをインストールする
  • サーバー用のソフトウェアをインストールする

大幅に省略した準備項目ですが、こんな感じでコンピューターを準備する必要があります。

これらを突破して、サーバーを作れたとします。

部屋の片隅でずっとずっと動き続けているコンピューター。

停電が起きたらサービスはどうなる?

ハードディスクが壊れたらどうなる?

そもそもコンピューターはどこに置く?社長の家?物件を借りる?

サーバーを安定して動かし続けるのは結構大変なのです。

これらのコンピューターのセッティングや、壊れたハードディスクの交換、ケーブルの接続などなどを行うエンジニアは「インフラエンジニア」と呼ばれ、立派な職業として活動していました。

クラウドが来た。

クラウドを使うと、これらのサーバー構築が椅子から一歩も動かずにできてしまいます。

ブラウザの画面から設定ボタンを数回クリックするだけで、コンピューターを一台借りることができて、遠隔操作で設定できるようになります。

私が公私に渡って活用しているクラウドサービス「Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)」のコンピューター管理画面はこんな感じです。

テスト用にいくつかサーバーを起動していて、今は4台動いています。

これらのサーバーは使いたいときに「インスタンスの作成」を押して作成し、いらなくなったら数回のクリックで削除するだけです。

電気やガス、水道のように「使った分だけ請求」なので、一気に初期投資が必要になったりすることはありません。

一番安いサーバーで月額2,000円程度で借りることができて、自分で頑張って準備するのと比べると大幅なコストダウンになります。

プロ数人を投入してやっていたことが、一人の若造でできるようになった

クラウドを導入して解決できることはサーバーを設置して運用することだけではありません。

サービスの利用者が増えるにつれて、サーバーに同時に送られてくるデータが増えてきます。保存する利用者の情報も数十万件から数百万件に登ることも十分あり得ます。

そんな状況でも利用者が遅くてストレスを感じたり、そもそもサービスが落ちてしまっていて使えないということがないように対策をする必要があります。

まず基本なのは、サーバーを増やして処理を分担するよう設定することです。

ちょうど上のような図になります。

絵で描くと簡単そうですが、これを設定するとなるとかなりの専門知識が必要になります。

増やす分のサーバーを構築して、さらに振り分けを担当するサーバーを追加して、、、振り分けを担当するサーバーすら一つで足りなくなることも容易に想像できるでしょう。

これらの「負荷分散」はエンジニアリングでは非常に大切な分野であると同時に、計算にどれくらいの時間がかかるかを計算したり、より高速に計算するためのアルゴリズムを考えたりする必要がある非常に高度な分野なのです。

私が卒業した工学部情報工学科でも、データベースやアルゴリズムの専門的な講義がしっかり取られるほど難しく、ほぼ数学のような勉強を重ねる必要があります。

そんな非常に高度なシステムの構築が、今主流のクラウドの機能を利用することでわずか数クリックで構築できてしまうのです。

情報工学科の授業は1回90分の講義が全20回程度、それを受けても基礎の基礎の知識しか身につかず、とても製品として世に出すものは作れません。

膨大なインプットと現場での長い経験があってやっと作れるかどうかのシステムが、たった一人のエンジニアが操作するだけで構築できてしまうのです。

これはもう、「作業がちょっと早くなった」レベルではありません。10倍、100倍、下手をすると1000倍以上のスピード感をシステム開発に与える超革新的なものです。

一人でできてしまう、ということはその時点で一人の採用枠がなくなったということでもある

このような革新的なサービスがなければ、専門知識を持った人を雇って構築を依頼することになったでしょう。そもそも自分でITサービスで起業するという選択肢を取れていたかすら疑問です。

自分でできてしまったということは、相談すべき相手が一人ないしそれ以上スキップされたということです。

こういったスタートアップ企業のサーバー周りを支えていたインフラエンジニアの方の仕事がこのタイミングで減ったと言えるのです。

そのほかにも、iOS用ののアプリを作る技術、Android用のアプリを作る技術、Webサイトを作る技術などがどんどん簡単になっていったおかげで、全部少人数のチームで開発・運営することができてしまっています。

「仕事が”奪われる”」と言うとかなり大きな動きがあるように思えるが、実際は”スッ”と奪われる

「機械に仕事が奪われる」と表現すると、まるでPepperくんのようなロボットがある日突然やってきて、「あなたはクビです」と告げてくるかのようなイメージがあります。

しかし、私が見てきた範囲での仕事が奪われる瞬間はそうではありません。

クラウド事業者が新しい革新的なサービスを公開すると、私たちエンジニアが熱狂し、自ら学び出す。

チーム内で「この技術はやばい!便利すぎる!!」と波が広がっていき、どんどん社内勉強会やセミナー参加で広まっていく。

気づけば、運用しているサービスにそれらの新技術が取り入れられる。

さらに気づけば、採用しようと考えていた職種が「よく考えるといらなくない?」と言われるようになる。

こんな感じです。

「よく考えるといらなくない?」は、今後の会社の採用について考えたときに実際に出てきた言葉です。

驕っているように聞こえるかもしれません。

しかし、クラウド事業者は革新的な製品の公開とともに、「開発者には開発に集中してほしい」というメッセージも私たちに届けてくれています。

巨大企業の最先端のテクノロジーが私たちのような小さなチームにも世界レベルのサポートを提供してくれているので、今も少数精鋭のチームで活動できています。

それはこれからさらに加速していくことでしょう。

仕事が奪われた、と感じて焦る人」と、「仕事が奪われた、と感じる暇もなく熱狂して全力で遊ぶ人」に大きく分かれていく時代と言えます。

教室運営という仕事を自分たちで奪ってきた

自社で開発する学習支援アプリtyotto meは、早いものでその前身となるシステムの開発開始から2年が経過します。

開発当初は、紙で管理していた生徒の学習計画の確認や進捗のヒアリングで時間を取られて指導そのものに時間をしっかり取れていないことに懸念を感じ、システムの力で解決しようというシンプルな思いでした。

気づけばtyotto meというプロダクトにまとめてリリースして1年が経過しようとしていて、より多くの先生、生徒さんに活用していただいています。

アプリを活用した運営で、椅子から一歩も動かずとも生徒たちの頑張りを見られるようになった。

生徒が塾にいないときすら、生徒の学習状況を見て次の方針を検討したり、生徒から寄せられた相談に答えたりできるようになった。

これらの驚きやワクワク感の裏で、着実に自分たちが2年前に行なっていた仕事が奪われていきました。

さあ、仕事が”スッ”と奪われていく今、私たちは何をする?

今開発を進めているtyotto meの機能も、半年後、早ければ数ヶ月後にはクラウド事業者が新たに公開した革新的なサービスに移行していきます。

それらに移行することで、今かかっていた時間の10分の1以下の時間で、100倍以上の情報を安全に、安定して扱えるようになると確信しています。

つまり、今行なっている私の仕事は数ヶ月後には奪われると決まっています。

そして、数ヶ月後の仕事はその数ヶ月後にまた奪われていくでしょう。

そうなってきたときに立てるべき問いは、「じゃあ何をするか?」です。

今までは自社で大きな資金力を持ち、人員を集め、じっくり時間をかけてやってきたソフトウェア開発が、誤解を恐れずに言うと片手間でできるようになります

変化に溢れた今、そしてこれからの社会を楽しむためのスキルを身に着けること、育むことが今の教育に求められているのではないでしょうか。

仕事を奪われてできた時間に、じっくりその方法を考えていきたいと思います。

あとがき

大学受験を控えて、好きだったロボディクスとコンピューターサイエンス、どちらの道で進もうか?という問いを立ててから早6年、今の選択をしてとてもよかったと感じています。

より多くの人にそう感じて日々過ごしてもらいたい。そんな思いでtyotto meの開発も進めています。

開発をさくっと終わらせてできた時間で導入教室の教室長様とアプリを活用した教育について意見交換をさせていただく今の働き方がとても楽しく、充実しています。

教育支援アプリにご興味をお持ちの方、この記事を読んだついでに導入をご検討してみませんか。

ご連絡はページ下のフォームからお待ちしております。

以上、伊藤がお送りしました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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